高齢化あるいは生活習慣の変化に伴い、動脈硬化が原因となる疾患が増加しつつあります。動脈硬化が進行すると、細い動脈では狭窄・閉塞をきたし、大きな血管では動脈の壁が弱くなり、拡張し動脈瘤を形成しやすくなります。

大動脈解離を除けば大動脈瘤のほとんどは破裂する直前まで無症状です。検診や他の病気で病院を受診した際に、たまたま発見されることが多く、症状がないことから軽く見られがちです。

いったん動脈瘤ができてしまうと、それが自然に縮小することはありません。多くの場合は少しずつ大きくなり、最終的には破裂にいたります。破裂した場合には、重篤な出血性のショックをきたすため、突然死の原因となります。たとえ病院まで到着しても、手術の成績は不良です。よって大動脈瘤破裂症例の救命率は未だに低いのが現状です。

大動脈治療の目的は、動脈瘤の破裂を防止することです。大動脈瘤は、薬剤などの内科的治療で治すことはできません。したがって治療の原則は外科手術となります。

外科手術には
①人工血管置換術
②ステントグラフト内挿術
があります。

原著

Yoshie Ochiai, Yutaka Imoto, Masato Sakamoto, Akira Sese, Masaaki Tsukuda, Mamie Watanabe, Takuro Ohno, Kunitaka Joo: Longituditudinal growth of the autologous vessels above and below the Gore-Tex graft after the extracardiac conduit Fontan procedure. European Journal of Cardio-thoracic Surgery. 37: 996-1001. 2010

Arata K, Iguro Y, Yotsumoto G, Ueno T, Terai H, and Sakata R: Use of continuous retrograde gaseous Oxygen persufflation for myocardial protection during open heart surgery. Surg Today. 40(6): 549-554, 2010

Kayoko Kubota, Yutaka Otsji, Tetsuya Ueno, Chihaya Koriyama, Robert A. Levine, Ryuzo Sakata, Chuwa Tei: Functional mitral stenosis after surgical annuloplasty for ischemic mitral regurgitation: Importance of subvalvular tethering in the mechanism and dynamic deterioration during exertion. J Thorac Cardiovasc Surg. 140: 617-23, 2010

学会発表

山本裕之、久 容輔、峠 幸志、重久喜哉、上田英昭、川津祥和、上野哲哉、井本 浩: TEVARにて救命した特発性下行大動脈破裂の一例.第43回日本胸部外科学会九州地方会.平成22年7月(福岡)

山本裕之1)、井畔能文2)、⊥野哲哉1)、荒田憲一1)、久 容輔1)、峠 幸志1)、重久喜哉1)、上田英昭1)、井本 浩1) (鹿児島大学心臓血管外科1)、肝付町立病院2)):胸部大動脈疾患に対するステントグラフト治療の中期成績.第51回日本脈管学会.平成22年10月(旭川)

山本裕之1)、井畔能文2)、上野哲哉1)、荒田憲一1)、久 容輔1)、峠 幸志1)、重久喜哉1)、上田英昭1)、井本 浩1)(鹿児島大学心臓血管外科1)、肝付町立病院2)):緊急手術を要する胸部下行大動脈瘤の治療戦略-Paradigm shift後のTEVAR適応と限界-ワークショップ(How to do it).第63回日本胸部外科学会.平成22年10月(大阪)

福元祥浩、末廣章一、豊川建二、金城玉洋:感染性胸部大動脈瘤の1例.第95回日本血管外科学会九州地方会.平成21年11月(福岡)

Arata K, Yamamoto H, Imagama I, Iguro Y, Baba Y, Hayashi S, Imoto Y: Endovascular repair for anastomotic pseudoaneurysm after AAA grafting. The 11th annual congress of asian society for vascular surgery. June 29-July 2, 2010 Kyoto,Japan

荒田憲一、今釜逸美、牛島 孝、山本裕之、上野哲哉、久 容輔、峠 幸志、重久喜哉、上田英昭、井畔能文、井本 浩:下腿動脈バイパス術症例の検討.第51回日本脈管学会.平成22年10月(旭川市)

久 容輔、重久喜哉、峠 幸志、松葉智之、上野哲哉、山本裕之、井本 浩: Prevotella Prevotella属による人工弁感染性心内膜炎の一例.第43回日本胸部外科学会九州地方会総会.平成22年7月(福岡)

岩下龍史、網谷 滋、山本裕之、森山由紀則:腸骨動脈瘤に対する血管内治療の3例(ポスター).第38回日本血管外科学会総会.平成22年5月(さいたま市)

岩下龍史、上野哲哉、河野智紀、森山由紀則:MVR後にfracture embolizationを来した一例.第43回日本胸部外科学会九州地方会総会.平成22年7月(福岡)

Itsumi Imagama, Hiroshi Dohgomori, Tadashi Kikuchi, Satoshi Yoshino: Inhalation of irritating gas at the workplace.第37回日本集中治療医学会.第10回日韓合同集中治療会議.平成22年3月(広島)

重久喜哉、井本 浩、上野哲哉、山本裕之、荒田憲一、久 容輔、峠 幸志、今釜逸美、上田英昭:弓部大動脈瘤の肺動脈穿破により心不全を来たした1例.第43回日本胸部外科学会九州地方会総会.平成22年7月(福岡)

重久喜哉、峠 幸志、久 容輔、上田英昭、山本裕之、上野哲哉、井本 浩、坂田隆造:変性性MRに対する僧帽弁形成術後におけるTR増強因子の検討.第63回日本胸部外科学会定期学術集会.平成22年10月(大阪)

豊川建二、末廣章一、福元祥浩、金城玉洋:大動脈瘤術後2年目に発症した2次性腹部大動脈十二指腸瘻の1例.第96回日本血管外科学会九州地方会.平成22年8月(沖縄)

上田英昭、山本裕之、中村好宏、永田俊行、井本 浩:開心術後遅発性タンポナーデに対する胸腔鏡下開窓術.第43回日本胸部外科学会九州地方会総会.平成22年7月(福岡)

上野哲哉、坂田隆造、井畔能文、山本裕之、上野正裕、久 容輔、井ノ上博法、峠 幸志:左室形成術術後中間期にIMRのUp-gradeを来たした症例の検討,第40回日本心臓血管外科学会学術総会.平成22年2月(神戸)

上野哲哉、坂田隆造、上野隆幸、井畔能文、山本裕之、上野正裕、久 容輔、井ノ上博法、峠 幸志:虚血性MRと変性性MRに対する僧帽弁形成術におけるTRの自然経過.第40回日本心臓血管外科学会学術総会.平成22年2月(神戸)

Tetsuya Ueno, Hiroyuki Yamamoto, Yosuke Hisashi, Koji Tao, Yoshiya Shigehisa, Tomoyuki Matsuba, Yutaka Imoto, Ryuzo Sakata, Chuwa Tei: What caused the up-grade of tricuspid regurgitation after mitral valve repair for degenerative mitral regurgitation? Valves in the heart of the big apple VI: Second Annual Joint Meeting of the Heart Valve Society of America and Society of Heart Valve Disease. Sixth Annual Scientific Session: Heart Valve Society of America, NewYork Marriott Marquis Hotel, NewYork, NY April 15-17, 2010.

その他の学会発表

福元祥浩、末廣章一、豊川建二、金城玉洋:当科における腹部大動脈瘤症例の検討:第4回宮崎血管治療懇話会.平成22年3月(宮崎)

福元祥浩、豊川建二、金城玉洋:術前、心停止により40分間のCPRを要した急性解離の1手術例.第13回循環器臨床フォーラム.平成22年9月(宮崎)

豊川建二、末廣章一、福元祥浩、金城玉洋:当科での左室形成術の検討. 第1回宮崎循環器フォーラム.平成22年7月(宮崎)

三重陽一(今村病院分院腎臓内科)、牛島 孝:糖尿病を原疾患とする透析症例に合併した虚血病変の3例.第35回九州MMC研究会.平成22年7月(福岡)

座長・特別発言・講演

井本 浩:手術創管理 学術講演会(座長).平成22年4月(鹿児島)

井本 浩:Dr. Hippelainenによる弁形成術講演会(座長).平成22年5月(鹿児島)

井本 浩:第11回大隈循環器研究会「先天性心臓病手術に関する最近の状況- -こどもからおとなへ-」(特別講演).平成22年6月(鹿児島)

井本 浩:第59回宮崎医師会病院心臓病研究会「先天性心臓病外科治療の最前線-肺高血圧症例を含めて-」(特別講演).平成22年7月(宮崎)

井本 浩:第43回日本胸部外科学会九州地方会総会(座長).平成22年7月(福岡)

井本 浩:第12回新杏病院友の会「心臓外科と私」(指導講話).平成22年10月(鹿児島)

井本 浩:第31回二十一人の会「先天性心臓病手術へのチャレンジ-肺高圧治療を含めて-」(講演).平成22年10月(鹿児島)

井本 浩:第63回日本胸部外科学会定期学術集会(座長).平成22年10月(大阪)

井本 浩:神奈川心臓手術手技セミナー「小児心臓外科医のチャレンジ-より良い手術を求めて(講演).平成22年10月(横浜)

井本 浩:第1回桜ヶ丘動脈硬化フォーラム(座長).平成22年11月(鹿児島)

井本 浩:第110回九州医師会医学会 第4分科会 外科学会「心臓血管外科-最近のトピックス-」(特別講演).平成22年11月(鹿児島)

井本 浩:大隅地区学術講演会「心臓大血管の緊急手術」(特別講演).平成22年11月(鹿児島)

井本 浩:三州健康教室「突然の胸痛~あたいはどげんなったろか~」(講演).平成22年11月(鹿児島)

井本 浩:第48回日本人工臓器学会大会ランチョンセミナー「小児の弁膜症外科治療」(講演).平成22年11月(仙台)

金城玉洋:第96回日本血管外科学会九州地方会(座長).平成22年8月(沖縄)

牛島 孝:国分・姶良学術セミナー「糖尿病性壊疽と閉塞性動脈硬化症」(講演).平成22年5月(霧島)

牛島 孝:北薩透析講演会「透析患者における末梢血管疾患」(講演).平成22年10月(川内)